2010年3月3日水曜日

政治 : 寝た子を起こすか宗男さん


 衆院外務委員会(鈴木宗男委員長)は3日午前、核持ち込みなどに関 する日米間の密約をめぐり、当時の経緯を知る立場にあった外務省の歴代事務次官や旧条約局長経験者の参考人招致を全会一致で決めた。理事懇談会では村田良 平元次官や東郷和彦元条約局長、吉野文六元アメリカ局長の名前が挙がった。
自民党政権下で一貫して否定されてきた「核持ち込み疑惑」が、これでようやくその姿をあらわしそうです。鈴木宗男議員の努力には頭が下がります。冷戦下の、そして現在も続く日米同盟のあり方について、議論が沸き起こるかもしれません。

ただ、これは果たして、手放しで喜んでいいことなのでしょうか。核の持ち込み疑惑は、かなり昔からあった話です。いわば、冷戦下で継続的に行われてきたこと、と言っていいでしょう。けして一時的な問題ではない。それは言葉を変えるなら、日本は一貫して米国の核防衛体制を支え、享受してきた、ということです。

ご承知の通り、日本には非核三原則があります。「作らず持たず持ち込ませず」と。核持ち込み疑惑があきらかになるということは、この原則がほぼ最初から意味を持っていなかった、ということでもあります。我々の平和は、その願いに支えられていたのではなく、委棄すべき力によって支えられていた、ということです。広島長崎の願いも、現実のパワーポリティクスが担保していた、ということです。私たちはこれと正面から向き合わなければなりません。平和を願う祈りは真摯なものであったかもしれないが、その裏には真逆のものがあったことを。安心して祈りを捧げることができたのは、力という支えがあったことを。

まあ、それはそれ、これはこれとして。過去は過去、現在は現在、未来は未来、です。過去にあった密約があきらかになれば、現在や未来の防衛に対する考え方に色々と参考になる事実もあきらかになるでしょう。まずは、このチャンスを生かす道筋をみつけることが、急務なのではないでしょうか。

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