2010年3月4日木曜日

メディア : 朝までダダ漏れ討論会を観て

先月の最終日曜日(2月28日)に、Ustream(PTFlive)にて「朝までダダ漏れ討論会 : どうなるこれからのジャーナリズム!」というイベントが開催されました。第一部の司会は田原総一郎氏、第二部の司会は津田大介氏で行われ、参加されたパネラーは、次の各位。

・上杉隆氏(フリージャーナリスト)
・田端信太郎氏((株)ライブドア、メディア事業部長)
・神保哲生氏(ビデオジャーナリスト)
・匿名氏(テレビディレクターとのこと)
・山口一臣氏(「週刊朝日」編集長)
・河野太郎氏(衆議院議員)

内容は、といいますと、なにぶんにも六時間を越えるものなので一口には説明しがたいのですが、基本的にタイトルにあるように、現在のジャーナリズムの問題点や、記者クラブの問題点、取材姿勢のあり方などが討論されていました。「朝まで生テレビ」のような企画をネットメディアが行う、ということで、かなり注目を浴びたようです。今回は、視聴した一人として、感想などを書いてみたいと思います。今後の参考になれば幸いです。

正直な話、おもしろかったと言えばおもしろかったし、おもしろくなかったと言えばおもしろくなかった、という結論になります(苦笑)。なんともどっちつかずの話ですが、これはこういうことです。

これまでTV局の資本力やシステムがないとなかなか成立しないであろう、と考えられていた「イベントタイプの討論番組」というものを、ネットメディアのチープな環境でも実行可能だ、と証明したことは、けっこう衝撃でした。まあ、チープな伝送回線の問題で放送が途切れるという「けっこう致命的な問題」はありましたが、それは技術的な問題なんで、なんとかなると考えます。まずはこの快挙を祝福しましょう。この点が、おもしろかった。新規な試みに対する興味が、十分に満たされた、ということです。

ただ、問題はここからです。

つまらなかったと感じた理由は、けっこう多岐にわたります。一番大きいのは、ディレクターの不在、構成の不在です。視聴者になにを見てもらいたかったのか明確ではない。出演者の主張なのか、出演者同士の意見が対立することなのか、出演者の主張によって浮かび上がってくる社会の問題なのか、あるいは、出演者自身を客寄せパンダとして「魅せる」ことなのか。それらが明確ではない。というか、視聴者としては個々人の話はわかるのですが、番組としての主張が感じられなかった。一時間半くらいの番組ならパネラーが個性的な方々ですから、それでもいいのですが、長時間になると、この欠点がけっこう目立ってきます。視聴者ってのは、討論の内容もさることながら、娯楽としての討論、ストーリー性のある番組作りを無意識に求めていたりもするものですから、常に視聴者がなにを見ているのか、という視点を持ってほしいと考えます。

Twitter との連携にも色々と問題はあると思います。視聴者の意見がまとまった形やピックアップされた状態で提出されるTVの討論とは違い、討論の横でフォローがなされていたりコメントが流れていたりするわけですから、双方向性への期待は、TVよりもずっと強い。議論の流れもさることながら、感想を随時討論者に返していく、といった進め方も必要でしょう。議論の流れをぶった切ってでも、強引にフォローやコメントの意見を差し挟む、といったことも必要かもしれません。ただこれは、有益な討論を望む視聴者にとっては迷惑な話ですから、なかなかバランスの取り方が難しい問題ではありますが。

パネラーの生かし方、という点でも、若干、もったいなかった気がします。みなさん、非常にお行儀よく話をされていましたが、ほとんどの方がジャーナリストなんですから、お互いに相手から意見を引き出しあう、といった姿勢があったほうが、討論番組としての魅力を出せたと思います。プロレス的な進め方をしたほうが、視聴者としても楽しめたと思います。意図的にバトルロイヤルな方向に持っていってもらう、ということはできたと思いますので、ここは次回に生かしてもらいたいかと。

細かい話をすれば他にも色々とありますが、基本はごくあたりまえな、「視聴者の視線に立った番組作り」をしてほしい、ということです。視聴者の「視点」ではなくて「視線」です。

0 件のコメント:

コメントを投稿